物語文の読み方ですが
読み進めながらそのシーンを
頭の中で想像して下さい。
ただ文字だけ目で追っていても
内容が頭の中に入ってきません。
それでは、
毎年必ず物語文が出題される
麻布中学の2024年入試の
文章を読んでみましょう。
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コツコツコツ……。
ユリ先生が黒板に文字を書く音を
みんなが黙って聞いている。
四月に入ったばかりだが、
校庭の桜は散り始めていた。
今日は学級委員を決める日だ。
三年生になると、
クラスで男女二人が
学級委員として選ばれて、
クラスをまとめる役割を
担うことになる。
立候補が一番優先されるが、
誰も立候補しなかった場合は
他の人を推薦してもいいと
ユリ先生が話していた。
黒板には縦書きで
「学きゅういいん決め」という言葉と、
その左側に男子、
さらに左に女子と書かれていた。
「はい、じゃあ学級委員だけど、
男子から決めちゃおうか」
先生がこちらを振り返る。
守は手のひらの汗をズボンで拭い、
手を挙げる準備をする。
「学級委員やりたい人!」
「はい」
思わず声がうわずり、
それを誤魔化すために
守は手を挙げたまま
軽く咳をした。
【以下省略】
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頭の中で、四月になり、新しい
クラスの学級委員を決めるシーンを
想像できましたか?
この文章は舞台が小学校なので
小学生にも読みやすいと思います。
ちなみに、ユリ先生が黒板に
「学級委員」ではなく
「学きゅういいん」と書いているのは
「級」「委」「員」の字を
まだ物語文の中の生徒たちが
習っていないからですね。
※現在の学習指導要領では
3年生で習います。
(「学」の字は1年生で習います)
また
「守は手のひらの汗をズボンで拭い」
のところからは、守が
緊張している様子が読み取れます。
クラスのリーダーである「学級委員」に
自ら立候補するので
緊張しているのでしょう。
その直後の「思わず声がうわずり」
という表現からも
緊張している様子が読み取れます。
そしてその緊張している様子を
誤魔化す(=隠す)ために
軽く咳をしたのですね。
こういったことを
頭の中で想像しながら
読み進めて欲しいです。
ただ、
「文字を目で追いました。
学級委員に立候補する話でした。」
だけでは、理解が不十分で
入試問題を解くことはできません。
表現方法や登場人物の
態度・仕種(草)・行動に注目して
読み進めましょう。
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