次の文章を読み
設問に答えなさい。
※漢字を答えさせるために
カタカナ表記のものは
カタカナのままにしてあります。
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「あ、これ食う?」
書類やノートパソコンが
入っていそうな靴から、
※蒲焼きさん太郎が出てきた。
差し出されたそれを
草児が黙って見ていると、
男はきまりわるそうに下を向き、
ホウソウを破いて、
自分の口に入れた。
「そうだよな、
あやしいよな。
知らないおじさんが手渡してくる
蒲焼きさん太郎なんか食べちゃだめだ」
しっかりしてるんだな、
えらいな、うん、と勝手に納得し、
男はベンチに座った。
●【鞄から、つぎつぎと
お菓子が取り出される】。
いくつかの
お菓子には見覚えがあり、
そのほかははじめて目にする。
うまい棒とポテトスナックは
知っているが、
なんとかボールと書いてある
お菓子は知らない。
「あの、なんで、
そんなにいっぱいお菓子持ってるの」
おそるおそる問う。
この男は草児が知っている
どの大人とも違う。
男はすこし考えてから
「さあ?」と首を傾げた。
自分自身のことなのに。
「安心するから、かな」
うまい棒を齧りながら、男は
「何年か前に出張した時に」
と喋り出した。
帰りの新幹線が
事故で何時間もとまったまま、
という体験をしたのだという。
いつ動き出すのかすら
まったくわからなくて、
不安だった。
でも、新幹線に乗る前に売店で買った
※チップスターの筒を
握りしめていると、なぜか安心した。
その時、思いもよらないものが
気持ちを支えてくれることも
あるんだな、と知った。
あれは単純に「食料がある」という
安心感ではなかった、
たとえば持っていたのが乾パンなどの
※非常食然としたものだったら
もっと違った気がする、
だからお菓子というものは
自分の精神的な
命綱のようなものだと思ったのだ、
というようなことをのんびりと
語る男に手招きされて、
草児もベンチに座った。
( 『タイムマシンに乗れないぼくたち』
寺地はるな より)
※蒲焼きさん太郎
…駄菓子の商品名。
※チップスター
…菓子の商品名。
※非常食然としたもの
…いかにも非常食らしいもの。
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■問
●【鞄から、つぎつぎと
お菓子が取り出される】
とありますが、「男」は「お菓子」を
どのようなものだと考えていますか。
文中から15字でぬき出しなさい。
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■解説・解答
男がお菓子を
どのようなものだと考えているかは
このメルマガの文章の後半に
書いてありますね。
「何年か前に出張した時に」
「新幹線が事故で…とまった」際の
記述を丁寧に読みましょう。
すると以下の内容が見つかると思います。
「だからお菓子というものは
自分の精神的な命綱のようなものだと
思ったのだ」
「~というものは…」という表現は
「~」の定義や価値を
表すときに使う表現ですね。
したがって答えは
「自分の精神的な命綱のようなもの」
になります。
その次にある「だ」を入れてしまうと
16字になってしまうので
入れないようにしましょう。
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■解答(学校発表なし)
自分の精神的な命綱のようなもの
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★おまけ
この問は比較的簡単だったのでは
ないでしょうか。
ただし、ぬき出し問題を解く際は
同異議の表現がないか
注意してください。
例えば
「自分の」≒「自らの」
「精神」≒「メンタル」
などの表現です。
今回の問では
そういった同義表現はありませんが
もしある場合は、答えを書く前に
少し冷静になって、どちらの表現が
答えとしてより正しいのかを
考えましょう。
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