次の文章を読んで
後の問いに答えなさい。
※(a)などの表記は
入試問題のままにしてあります。
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●【もしかしたら、もしかしたら】。
自転車のペダルをふみながら、
頭の中に
「もしかしたら」の一言がうずまく。
祖母の固く目を閉じた姿がうかび、
いっしょになって(a)と回る。
胸が苦しい。
もしかしたら、
おばあちゃんに何かあったんじゃ。
もしかしたら、もしかしたら。
おばあちゃん、目をサまして、
あたしを呼んだんじゃないだろうか。
あたしがいないから、
一人で薬を飲もうと
したんじゃないだろうか。
キッチンに行こうとして転んで……。
救急車のサイレンはまだ聞こえている。
どんどん大きくなっている。
杏里の不安もどんどんふくらんでいく。
力いっぱい自転車をこぐ。
速く、速く、もっと速く。
「あ……」
救急車が止まっていた。
家の近くのマンションの前だ。
近所の人たちが数人、
救急車を見つめている。
(中略)
救急車はまたサイレンを鳴らして
遠ざかっていった。
そのテールランプが曲がりかどに消えても、
女の人たちはしゃべり続けている。
杏里は自転車を押しながら、
その横をそっと通り過ぎた。
(あさの あつこ『一年四組の窓から』)
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■問
●【もしかしたら、もしかしたら】
とありますが
ここでの杏里の気持ちが
やがて静まっていく様子を、
間接的に表している一文を
文章中からぬき出して、
始めの5字で答えなさい。
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■解説・解答
本文から探す際のポイントは
「杏里の気持ちが静まっていく」と
「間接的に表している」です。
この2つのイメージを
頭の中に入れて探すと
見つかりやすいと思います。
すると、救急車が出てきたところに
「救急車のサイレンはまだ聞こえている。
どんどん大きくなっている。
杏里の不安もどんどんふくらんでいく。」
とあるので
「救急車のサイレンの音の大きさ」
=「杏里の不安の大きさ」
という関係が分かります。
さらに読み進めていくと
(中略)の直後に
以下の文が見つかります。
「救急車はまたサイレンを鳴らして
遠ざかっていった。」
この一文が、杏里の気持ちが
静まっていく様子を
間接的に表しているのですね。
ちなみに一番最後の文の
「杏里は自転車を押しながら、
その横をそっと通り過ぎた。」は
杏里自身の行動であり
杏里の気持ちを
直接的に表しているので
答えにはなりません。
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■解答(学校発表なし)
救急車はま
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■おまけ
洛南の国語は60分で文章が3つです。
灘の2日目が70分で文章3つなので
それを意識して作られているのかな
と思います。
慣用句や擬態語などの
言語感覚の理解を問う小問も
灘の1日目の問題に似ています。
ただ、記述問題は少なく
簡単に解ける問を
スピーディーに解くという能力が
求められていると思います。
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