次の文章を読んで
後の問いに答えなさい。
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美穂がつばを飲み込んだ。
ふっと小さく息を吐く。
「だけど、友だちって
思っていることを言い合えるから
友だちでしょ。
嫌なことは嫌だって
言えるから友だちでしょ。
『嫌だ』も言えないようなのって、
おかしいよね」
もう一度大きく、杏里はうなずいた。
美穂を励ますために、
適当に相づちを打っているのではない。
●【その通りだと思うのだ】。
(中略)
そう、言葉で人を
傷つけてはいけない。
でも、飲み込んでしまっても
だめなんだと思う。
相手がたいせつな人なら、
だいじな友人なら、なおさら、
言葉を飲み込んだまま
黙ってしまってはだめなのだ。
(中略)
自分の内にある感情をきちんと伝える。
相手の思いをきちんと受け止める。
ときにケンカもするし、
言い合うこともある。
だけど、そのあと、
肩を並べて歩いたりできる。
笑いあえる。
友だちって、そういうものだろう。
(あさの あつこ『一年四組の窓から』)
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■問
●【その通りだと思うのだ】とありますが
杏里はどういうことを思っているのですか。
50字以内で説明しなさい。
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■解説・解答
美穂のセリフを受けて
杏里が思っていることを答える問ですが
まずは「その通り」という
指示語の内容を明らかにしましょう。
指示語の前に以下のような
美穂のセリフがありますね。
★1「だけど、友だちって
思っていることを言い合えるから
友だちでしょ。
嫌なことは嫌だって言えるから友だちでしょ。
『嫌だ』も言えないようなのって、
おかしいよね」
杏里は、この美穂の
友だちについての考えに納得して
その通りだと思っています。
また、指示語の後ろにも
これと似た内容があります。
★2「言葉で人を
傷つけてはいけない。
でも、飲み込んでしまっても
だめなんだと思う。
相手がたいせつな人なら、
だいじな友人なら、なおさら、
言葉を飲み込んだまま
黙ってしまってはだめ」
美穂の、友だちに対するを考えを聞いて
杏里は自分の考えを心の中に
思い浮かべているのですね。
さらに杏里はこの考えに加えて
★3「自分の内にある感情をきちんと伝える。
相手の思いをきちんと受け止める。
ときにケンカもするし、
言い合うこともある。
だけど、そのあと、
肩を並べて歩いたりできる。
笑いあえる。
友だちって、そういうものだろう。」
とも思っています。
この★1~3をまとめて
50字以内にしますが
★1~3のうち★3の内容だけ使います。
なぜなら★1と★2の内容は
★3の中にある
「自分の内にある感情をきちんと伝える」
とほぼ同じですし、★3はそれに加え
「相手の思いをきちんと受け止める」
という内容も付け加えられているからです。
ただ、★3は字数が多いので
削って修正します。
★3「自分の内にある感情をきちんと伝える。
相手の思いをきちんと受け止める。
ときにケンカもするし、
言い合うこともある。
だけど、そのあと、
肩を並べて歩いたりできる。
笑いあえる。
友だちって、そういうものだろう。」
↓
★3´「自分の内にある感情をきちんと伝え
相手の思いをきちんと受け止めるのが友だち」
これを基に答えにします。
★3´「自分の内にある感情をきちんと伝え
相手の思いをきちんと受け止めるのが友だち」
↓
◎「自分の内にある感情をきちんと伝え
相手の思いをきちんと受け止めるのが
本来の友だち」(であるということ。)
最後に問の文に答えをあてはめてみて
意味が分かるか確認します。
問【その通りだと思うのだ】とありますが
杏里は
答「自分の内にある感情をきちんと伝え
相手の思いをきちんと受け止めるのが
本来の友だちであるということ」
を思っている。
いいですね、意味が分かりますね。
美穂の、友だちに対する考えを聞いて
杏里もその考えに納得し
自分の考えを加えています。
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■解答(学校発表なし)
自分の内にある感情をきちんと伝え
相手の思いをきちんと受け止めるのが
本来の友だちであるということ。
(48字)
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■おまけ
大問題1で唯一の記述問題です。
字数も50字なので、まあまああります。
洛南の国語は
文章1つにつき記述問題が1題で
その字数は50字前後ですが、
この傾向は首都圏だと
豊島岡女子学園に似ています。
洛南は60分で文章が3つなのに対し
豊島は50分で文章が2つですが、
どちらも文章1つにつき
50~100字の記述問題が1題出ます。
選択肢も、どちらも5択なので
洛南を受ける人は豊島
豊島を受ける人は洛南の問題を解いても
良い練習になると思います。
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