三田学園中に進学したI君

 あれは、私が19歳の秋でした。

 中学、高校と男子校だった私は
 大学に入って人生で初めて彼女ができ 
 その彼女にクリスマスプレゼントを
 贈ろうと思いました。

 プレゼントを買うにはお金が要ります。

 そこでアルバイトを
 始めることにしました。
 
 友人が家庭教師をやっていて
「けっこうかせげるで」とのことだったので
「じゃあまあ、やってみるか」という
 安易あんいな気持ちで家庭教師を始めました。

 ただ、最初に受け持った生徒は
 中学受験を希望する小学6年生で
 あまりにも成績が悪くて
 塾から見放されてしまったという
 少し可哀想かわいそうな生徒でした。

 算数では、計算問題からミスを
 連発してしまうような状況でしたが
 第1志望校は三田さんだ学園(兵庫県)という
 少し偏差値が高い学校でした。

 しかも

「そこしか受けない!
 ダメなら地元の公立に行きます。」

 という、強気の受験生でした。

 はじめは週1回の指導でしたが
 受験直前期だったため
 すぐに週3回になり
 入試直前の冬休みは
 毎日指導していました。

 家庭教師なので
 カリキュラムや指定された教材も
 ありませんでしたが
 過去の入試問題を中心として
 その類題をたくさん解いてもらい
 4教科全てを教えました。

 クリスマスが過ぎて
 当初の目的は達成できましたが
 受験直前の生徒の前でさすがに

「12月いっぱいで、めます。」

 とは言えず、成人式にも出ないで
 1月も指導を続けました。

※関西圏の入試は1月中旬~なので
 成人式はその直前にあります。

 入試直前にやった過去問の点数は
 合格最低点を
 ギリギリ上回る程度だったため
 どうなるか分かりませんでしたが

 結果は…

 

 
「先生、合格しました!」

 と元気いっぱいに報告してくれました。

 やっぱり、その時は
 かなりうれしかったです。

 多分、その声が私が教師に
 なったきっかけだと思います。

 教育の業界では
 よく言われることですが
 お金では買えない感動を
 味わわせてもらいました。

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★おまけ

 私もまだ若かったので
「先生」というよりかは
「お兄ちゃん」という感じで
 楽しく指導させていただき
 冬休み中の指導では、朝ご飯まで
 食べさせていただきました。

 朝7時からの指導だったためですが
 本当に感謝しています。
 
 え?彼女とはどうなったのか?
 
 その後、別れてしまいました(*_*)
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