豊島 2023年 第1回 大問題1 問2

裁縫をしている女性のイラスト

次の文章を読んで
問いに答えなさい。
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一心不乱に勉強している人を見ると、
「あの人はやる気のある人だなぁ」
と思うことはありますが、
ブウンブウンと音を立てて
一心不乱に掃除しているルンバを見ても、
●【「あのルンバはやる気があるなぁ」
とは感じないでしょう】。

不思議な気がしますが、
なぜこのように人とルンバに対して
異なった感情が芽生えるのでしょうか。

それは動くための力のありかが
違うことを知っているからです。

ルンバが動くことができるのは、
ルンバの内部からの力ではなく、
外部からの力、すなわち、
電力によって動力を得ているからです。

ルンバに限らず機械が動くためには、
外部から電力やガソリンなどの
物理的な力が供給される必要があります。

その力を得た後に、
スイッチをいれると動き出します。

それに比べて、人間は
外部による力で動くことは
あまりありません。

むしろ、人間(やある種の動物)は、
内部からのやる気によって
自ら行動を起こします。

( 『勉強する気はなぜ起こらないのか』
 外山とやま美樹 より)

※ルンバ…
 ロボット掃除機の商品名

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■問

●【「あのルンバはやる気があるなぁ」
 とは感じないでしょう】とありますが、
 なぜですか。

 その理由として最も適当なものを
 次の選択肢の中から選び
 記号で答えなさい。

ア 人間は外部による力で動くことは
  あまりないことだと感じているから。

ウ ルンバが動くのは、
  外部から「やる気」を得ている
  ためだと理解しているから。

オ 「やる気」とは、
  人間の内部に存在している
  力のことだと考えているから。

※本来はア~オの5択でしたが
 答えとかけ離れた
 選択肢は削りました。

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■解説・解答

 各選択肢を見る前に
 本文を読み直して
【「あのルンバはやる気があるなぁ」
 とは感じない】理由を
 おさえておきましょう。

 すると以下の内容が目に留まりますね。

「動くための力のありかが
 違うことを知っているから」

「ルンバが動くことができるのは…
 外部からの力…
 によって動力を得ているから」

「人間…は
 内部からのやる気によって
 自ら行動を起こします」

「『やる気』とは
 人間の内部に存在している
 力のこと」

 これらをまとめると

「人間は
 内部からのやる気によって
 自ら行動を起こすが

 ルンバは外部からの力
 によって動力を得ているから

 ルンバはやる気があるとは感じない」

 ということになります。

※このブログの解説用に
 ここで記述しましたが
 実際に問題を解く際は
 この内容が頭に入っていれば
 わざわざ記述する必要はないです。

 その考えをもとに各選択肢を見ると

ア 人間は外部による力で動くことは
  あまりないことだと感じているから。

 言っていることは
 本文とかけ離れてはいませんが
 これがなぜ
【「あのルンバはやる気があるなぁ」
 とは感じない】理由なのかの
 説明にはなっていません。

 ×です。

ウ ルンバが動くのは、
  外部から「やる気」を得ている
  ためだと理解しているから。

 ルンバが動くのは、
 外部から「やる気」ではなく
「電力によって動力」を
 得ているからですね。

「『やる気』とは、人間の内部に
 存在している力のこと」です。

 ×です。

オ「やる気」とは、
  人間の内部に存在している
  力のことだと考えているから。

 これが正解ですね。
  
「やる気」とは、
 人間の内部に存在している
 力のことだと考えていて

 ルンバが動くのは
「外部からの力」によるものだから

「あのルンバはやる気があるなぁ」
 とは感じないのです。 

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■解答(学校発表のもの) 

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★おまけ

『勉強する気はなぜ起こらないのか』
 の筆者の外山美樹さんは
 筑波大学をご卒業され
 現在も筑波大学で
 教育心理学を研究されています。
 
『勉強する気はなぜ起こらないのか』は
 2021年の4月に出版され
 もうすぐ中学生になられる
 娘さんのために書いたとのことです。

 他の著書に

『行動を起こし、持続する力ー
 モチベーションの心理学』

『実力発揮メソッドー
 パフォーマンスの心理学』

 などがあります。
 
 なお、中学入試によく出る
「外山滋比古」さんと
 親戚関係ではありません。

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