■次の文章を読み、
後の問いに答えなさい。
------------------
共有地の悲劇の寓話が興味深いのは、
●【人間が環境問題を引き起こす
メカニズムの核心をついている】からだ。
(中略)
このように、
公共の場所である河川で、
誰の所有物でもない
ウナギの稚魚を獲るという行為には、
人間がエゴをむき出しにして、
たとえ将来絶滅しようが
後先考えず今だけの利益のために
行動するよう仕向けるメカニズムが
存在している。
密漁者たちも当然、シラスウナギが
年々減少していることを
自分の身をもって痛感しているだろう。
それでも、
自然環境保全のために
密漁をやめるかといえば、
そうではない。
自分ひとりがやめても、
ほかの誰かが採ってしまい、
結局は破滅に向かうからだ。
どうせウナギ産業が破滅するのなら、
いまのうちに少しでも
お金を稼いでおこう。
こういう考え方こそが、
共有地の悲劇を生んでいる。
(伊勢 武史(いせ たけし)著
『2050年の地球を予測する―
科学でわかる環境の未来』より
------------------
■問
次は、●【 】中の
「人間が環境問題を引き起こすメカニズム」
について説明した文です。
空欄に入る適切な表現を
本文中から20字以内で抜き出し、
答えなさい。
「人間が環境問題を
引き起こすメカニズム」とは、
人間が共有地においては
【 】ことを促す
仕組みのことを指している。
------------------
■解説・解答
問で与えられた文は
「メカニズムとは
~のことを指している。」
という構造になっているので
「メカニズム」に関する記述を
意識して探しますが
これだけだと手がかりが少ないです。
もっと決定的なテクニックは
問いで与えられた文に空欄がある
空欄補充問題の場合
その空欄の前後と同じか、似た表現を
本文から探すということです。
つまりこの問ですと
「共有地においては
【 】ことを促す…」
とあるので
「共有地において」や
「促す」と同じか、似た表現を
本文から探せばよいことになります。
すると本文の以下の表現が
目に留まるのではないでしょうか。
「後先考えず今だけの利益のために
行動するよう仕向ける
メカニズムが存在している」
この箇所の中ほどにある
「仕向ける」≒「促す」
という類義語に気付いて欲しいです。
あとは問で与えられた文に
つながるように上手く抜き出しましょう。
問で与えられた文には
「【 】ことを促す…」とあるので
「こと」につながるように
20字以内で抜き出します。
すると、
「後先考えず今だけの利益のために
行動する/よう仕向ける」で切れば
「【後先考えず今だけの利益のために
行動する】ことを促す…」
となり自然なつながりになります。
最後に、問で与えられた文に
答えをあてはめてみて
意味が分かるか確認します。
「人間が環境問題を
引き起こすメカニズム」とは、
人間が共有地においては
【後先考えず今だけの
利益のために行動する】ことを促す
仕組みのことを指している。
大丈夫ですね。意味が分かります。
------------------
■解答(学校発表なし)
後先考えず今だけの
利益のために行動する (19字)
------------------
★おまけ
解説・解答のところで
「その空欄の前後と同じか似た表現を
本文から探す」
とお伝えしましたが
難関校になると同じ表現ではなく
似た表現、つまり類義語から
探すテクニックが要求されます。
なので、このコラムでは
扱っていませんが
類義語の勉強も
しっかりとやっておきましょう。
------------------