■次の文章を読み、
後の問いに答えなさい。
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ひとつ例を考えてみよう。
現代の日本において、
肉牛は私有物である。
野良犬みたいな野良牛が
そのへんを歩いてて、
誰の持ち物でもない、
なんてことはあり得ない。
そして、ウナギと異なり
肉牛の繁殖法は確立されている
(飼育下で子ウシを産ませて
成長させることが可能だ)。
つまり肉牛は、完全に
私有物として管理されているのである。
(中略)
そう、いくら松阪牛が
ブームになって高く売れるからといって、
親となる牛たちまで
みんな出荷して食べちゃう、
なんてことはない。
牧畜業者のみなさんは後先考えて、
種ウシと母ウシに繁殖させて
子ウシを産ませるから、
松阪牛ブームがどんなに盛り上がっても
松阪牛が絶滅することはない。
むしろ、お金を儲けようと
松阪牛の飼育をはじめる牧場が
増加することで、ウシの個体数は
増えることだろう。
●【シラスウナギに起こっている
悲劇との決定的な違い】を
わかってもらえただろうか。
(伊勢 武史 著
『2050年の地球を予測する―
科学でわかる環境の未来』より
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■問
●「シラスウナギに起こっている悲劇との
決定的な違い」は、
どのような点にありますか。
次の空欄A・Bに入る適切な表現を
本文中から指定の字数で抜き出し、
説明を完成させなさい。
シラスウナギとは異なり、
松阪牛は【A 3字 】が定まっており、
【B 8字 】することができる点。
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■解説・解答
以前にもお話しましたが
問で与えられた文における
空欄補充問題は
その空欄の前後と同じか
似た表現を本文から探しましょう。
【 A 】については
その前に「松阪牛は」とあり
後ろに「が定まっており」とあります。
まず、「松阪牛は」については
~~~~~~~~~~~~~~
ひとつ例を考えてみよう。
現代の日本において、
肉牛は私有物である。
~~~~~~~~~~~~~~
の箇所の「肉牛は」が
近い表現になります。
ただ、「私有物」は答えにはなりません。
なぜなら、「【私有物】が定まっており」
というつながりだと
意味が分からないためです。
なので、次に【 A 】の後ろにある
「が定まっており」
という表現に着目しますと
~~~~~~~~~~~~~~~~
そして、ウナギと異なり
肉牛の繁殖法は確立されている
~~~~~~~~~~~~~~~~
の箇所にある「確立されている」が
似た表現だと気づきます。
そして、その前にある
「繁殖法」という言葉を
【 A 】に入れてみると
「松阪牛は【繁殖法】が定まっており」
となり、意味が分かるので
これが答えになります。
さらにここで《本文》と
《問で与えられた文》を比較してみると
《本文》
~~~~~~~~~~~~~~~~
ウナギと異なり
肉牛の繁殖法は確立されている
~~~~~~~~~~~~~~~~
《問で与えられた文》
~~~~~~~~~~~~~~~~~
シラスウナギとは異なり、
松阪牛は【A 3字 】が定まっており
~~~~~~~~~~~~~~~~~
とあり、
「ウナギと異なり」
≒
「シラスウナギとは異なり」
からも【繁殖法】が
答えとしてふさわしいことが分かります。
次に【 B 】ですが
先ほど見た本文の後ろに
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
つまり肉牛は、完全に
私有物として管理されているのである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とあるので
【私有物として管理】
が答えになりそうです。
試しに【 B 】に入れてみると
「【私有物として管理】
することができる点。」
で意味が分かるので答えにできます。
最後に、問とつなげてみて
意味が分かるか確認します。
「シラスウナギとは異なり、
松阪牛は【繁殖法】が定まっており、
【私有物として管理】
することができる点」に
「シラスウナギに起こっている
悲劇との決定的な違い」があります。
大丈夫ですね。
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■解答(学校発表なし)
【A】=繁殖法
【B】=私有物として管理
シラスウナギとは異なり、
松阪牛は【繁殖法】が定まっており、
【私有物として管理】
することができる点。
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★おまけ
空欄補充や抜き出し問題で重要なのは
「答えとして意味が分かるか」です。
多くの受験生が
「3字」や「8字」といった
字数の一致だけで満足してしまい
意味不明な答えを抜き出し、
補充してしまいます。
字数の一致だけで満足せずに
その答えで意味が分かるかという
確認作業を必ず行いましょう。
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