■次の文章を読んで
あとの質問に答えなさい。
「利他」の反対語は
「利己」とされています。
「あの人は利己的だ」というと、
自分のことばかり考えて、
他者のことは顧(かえり)みない人を
批判する言葉ですよね。
これに対して、
「あの人は利他的だ」というと、
自分の利益を放棄して、
他者のために尽くす人を
称賛(しょうさん)する言葉になります。
(中略)
例えば、ある人が
「評価を得たい」
「名誉を得たい」と考えて、
利他的なことを行っていたとすると、
その行為は純粋に
「利他的」と言えるでしょうか?
行為自体は「【 1 】的」だけれども、
動機づけが「【 2 】的」な場合、
私たちはどのような思いを抱くでしょうか?
おそらく、そのような行為は、
【 3 】 的だと見なされるでしょう。
( 『思いがけず利他』
中島 岳志より)
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■問
【 1 】~【 3 】には
「利他」か「利己」の
いずれかの語が入ります。
解答欄にどちらの語が入るか
それぞれ書きなさい。
※本来は~【 5 】までありましたが
【 3 】までにしました。
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■解説・解答
本文の冒頭に「利己」と「利他」
についての説明がありますね。
利己…“利”益を“己”(自分)にもたらす
利他…“利”益を“他”人にもたらす、です。
この考えをもとに
【 1 】~【 3 】の
前後を見ていきましょう。
【 1 】の前を見ると
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利他的なことを行っていたとすると、
その行為は純粋に
「利他的」と言えるでしょうか?
行為自体は「【 1 】」的だけれども
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とあり
「利他的なことを行っていたとすると…
行為自体は『【 1 】的』」
とあるので【 1 】は
「利他」になります。
また、【 2 】に関しては、その前に
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
例えば、ある人が
「評価を得たい」
「名誉を得たい」と考えて、
利他的なことを行っていたとすると、
その行為は純粋に
「利他的」と言えるでしょうか?
行為自体は「【 1 】的」だけれども、
動機づけが【 2 】的」な場合
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とあり
「『評価を得たい』『名誉を得たい』」
↓
「動機動機づけが【 2 】的」
とあるので、この動機づけは
「己(自分)」の利益を考えているので
【 2 】は「利己」になります。
そして、「例えば…」で始まる文の最後は
「~と言えるでしょうか?」
で終わっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~
例えば、ある人が
「評価を得たい」
「名誉を得たい」と考えて、
利他的なことを行っていたとすると、
その行為は純粋に
「利他的」と言えるでしょうか?
~~~~~~~~~~~~~~~~
以前にもお伝えしましたが
この最後の、「か?」は文法用語で
「反語」と呼ばれ、その後ろに
反対の内容が隠されています。
「その行為は…『利他的』と
言えるでしょうか?
(いや、そうではないですよね。)」
ということなので、この続きにあたる
「おそらく、そのような行為は、
【 3 】的だと見なされるでしょう。」
の【 3 】には「利己」が入ります。
最後に、【 1 】~【 3 】に
今考えた答えを当てはめてみて
意味が分かるか確認します。
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例えば、ある人が
「評価を得たい」
「名誉を得たい」と考えて、
利他的なことを行っていたとすると、
その行為は純粋に
「利他的」と言えるでしょうか?
行為自体は「【利他】的」だけれども、
動機づけが「【利己】的」な場合、
私たちはどのような思いを抱くでしょうか?
おそらく、そのような行為は、
【利己】 的だと見なされるでしょう。
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大丈夫ですね、意味が分かります。
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■解答(学校の発表と原典確認による)
【 1 】=利他
【 2 】=利己
【 3 】=利己
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★おまけ
中島岳志さんは中学受験で
大阪にある清風中学に入学され
その後、大阪外国語大学に
進学されました。
政治学者、歴史学者であり
テレビ朝日『報道ステーション』の
元レギュラーコメンテーターで
現在は東京工業大学リベラルアーツ研究
教育員の教授(政治学)をされています。
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